人の動きは、ほとんどが脳からのサインによるものです。そのサインがうまく働かなくなれば、人の活動はスムーズにいかなくなるものです。
みなさまも既にご存じのように、認知症と呼ばれる病気は、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまう・活動しなくなるということによって起こるもの。
記憶がきちんと形成されない、思い出せないということのほか、身体を思った通りにスムーズに動かせなくなったりします。
また、残存した脳の細胞が正常を保とうとするため、かえって抑うつや不安、興奮、攻撃性、幻覚、妄想、徘徊などの「認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれるご本人・ご家族が困ってしまう症状が出ることもあります。
認知症の治療には、薬物療法とリハビリテーションがあります。いくつかの稀な場合※を除き、認知症を完治する方法は現代の医学にはありません。しかし、治療やケアを行うことで進行の速度を遅くしたり、出ている症状を軽減させたりすることは出来ます。
※:脳腫瘍・慢性硬膜下血腫・正常圧水頭症・脳血管障害等の外科的治療の対象となる疾患。他にも脳症や代謝疾患、薬の副作用によるせん妄状態など治療可能な状態もあります。
もちろんつらいのは患者様ご本人ですが、介護している家族の方もまたつらいもの。
患者様ご本人のためにもそして介護している方のためにも、できるだけ早く症状に対処してあげることが大切です。
認知症にはいくつかの種類がありますが、主なものとして、以下の4つが挙げられます。
アルツハイマー型認知症
脳血管型認知症
レビー小体型認知症
前頭側頭型認知症
その他(大脳皮質基底核変性症や進行性核上性麻痺など)
認知症と言われる症状の中で最も多いのがアルツハイマー型認知症です。一般的に認知症=アルツハイマー病と認識をされる方が多いですが、必ずしもそうではありません。疾患によってそれぞれ特徴的な症状や適切なケアに違いがあるので、医師の診断などから適切なケアを行うことが大切です。
認知症を語るうえで大切なことの一つに、認知症ともの忘れの違いがあります。
記憶力のピークは20代であると言われており、その記憶力は加齢とともに減退します。
加齢による記憶力の衰えやもの忘れは、誰もが経験するもので特に心配する必要ありませんが、病気による場合・認知症の症状によるもの忘れは、どこに物を置いたのか、何を取りに隣の部屋に来たのかが思い出せないのではなく、置いたとか取りに来たもの「そのこと自体」を忘れたりしてしまうものです。認知症の患者様はそこにいる理由や置いたという記憶そのものがなくなるので「誰がこんなところに連れてきたのか」とか「お財布がない。きっと盗まれたんだ!」と怒ることがあるのです。
認知症になってもご本人の人格・意志が尊重されつつ、介護している方が困らないように当院では、認知症相談外来を開設し、適切な対処のサポートをおこなって参ります。
◎認知症に関するおすすめサイト https://info.ninchisho.net/
◎厚生労働省の認知症への取組み http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/
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